私たちの実践

患者さんの側に立った医療──それが私の願い

つい先日まで私が勤務していた病院は、かつて、日々の激務やスタッフ同士の競争によって、医師も看護師も消耗してゆくという悪循環がありました。

そんなとき、私自身ががんに冒されていることがわかったのです。自らを振り返る中で、それまで自分が優秀な医師であることを証明するために医療をしていたことに気づき、深く後悔しました。そして、「患者さんの側に立った医療をやり直したい」と決意。がんによって、私の本当の願いが引き出されてきたのです。

その後、TL人間学(魂の学)の医療分野の学びの中で示されている「予測・予防医療」を実践することになりました。最初に、「この患者さんにどうなっていただきたいか?」と願いを定め、次に、どのような偶発症が起こる可能性があるのかを予測し、そのための対策を他のスタッフと一緒に考え、患者さんを治療するための知識や技術も積極的に共有してゆく──。

そうすると、病院の中心は医師ではなく、患者さんになります。他のスタッフも患者さんを癒やすための同志になり、それぞれの力を十全に発揮できるようになります。

その結果、病院では医療事故がほぼゼロになり、医師もスタッフも願いを深め、患者さんと一緒に治療に向かうことができるようになりました。

つい最近、新たな病院に転勤となり、このような医療をさらに社会に広げてゆきたいと願いを新たにしています。

古賀哲也さん

患者さんを中心とした「予測・予防医療」に取り組む古賀さん。「患者さんの側に立った医療をやり直したい」という願いは、どこの病院へ行っても変わらない

職場にて

前職では、地域中核救急病院の消化器内科部長として勤務していた

シリーズセミナーにて

「シリーズセミナー」で、教材シートに取り組む。「他の医療の仲間と出会い、様々な実践のモデルを知ることができ、助言をもらうことができる」と古賀さん