私たちの実践

「カオス発想術」が、新たな住宅を生み出し、会社の活性化を導いてくれました

わが社は、もともと不動産会社で、先代のときに建売住宅事業にも参画しました。一般に、建売住宅を買うお客様は、それまでの家賃程度のローンですむ物件を求められます。私たちも、最初は価格重視の住宅をつくっていました。

しかし、長く住んでいただくものですから、次第に高品質の建売住宅をつくりたいと願うようになりました。ただ、普通の建売住宅より1500万円ほど高くなるので、「建売住宅は安くなければ売れない」という業界の常識からすると冒険でした。

そんなとき、社内の打ち合わせで、設計士のSさんが「私の意見なんて聞いてもらえないですから……」とつぶやいたのです。ハッとしました。「なぜSさんはそう言ったのだろう?」と振り返ったとき、私の心の中に、社員に対して「皆は俺の言った通りに動いてくれればいい」という優位の気持ちがあり、会議でも議論が行われず、私の意見がまかり通っていて、それが社員のエネルギーを奪い、会社の雰囲気を停滞させていることが見えてきたのです。

それからは、社員と、仕事の話だけではなく、家族の話などもして、互いのことを理解し合うように努めました。さらに、社員が歓びを持って仕事に臨めるように、顧客と積極的に出会う場をつくってゆきました。すると、社員が元気になり、積極的に意見を言ってくれるようになったのです。

Sさんからは、「地元の杉を使用したい」というアイデアが出てきました。杉は断熱性が高く、地球温暖化対策になり、香りには森林浴効果があって、アレルギー対策など、健康にもいいのです。ただ、コストが高く、「売れなかったらどうしよう」という不安がありました。

そんなとき、高橋先生に学んだ「カオス発想術」によって、どんなに難しく見える事態の中にも光転の因子があると受けとめ、その可能性の因子を引き出すための具体的なプランを練ることができました。そして、「お客様の健康と環境を守りたい」という社員の願いに共鳴し、GOサインを出しました。

その結果、すぐにあるご夫婦が「こんな住宅が欲しかったんです!」と購入してくださり、「注文住宅でも、こんなふうにはできないですね」と歓ばれました。

その姿を見たSさんは、「社長、お客様から『この住宅なら幸せに暮らせます』と言われたことが、設計士として本当にうれしかったです」と気持ちを伝えてくれました。自分の願いを反映した住宅で、人々が幸せな生活を送ることができる──。彼の歓びは、そのまま私自身の歓びでもありました。

そしてそれは、安売り競争を脱してゆく1本の白い道となったのです。 「カオス発想術」によって、本当に事態の中から「1本の白い道」を導くことができること、そして心を転換したときに想像以上の現実が生まれることを、今、強く実感しています。これからも社員との響働を大切にし、「皆様の人生が輝くご縁となる不動産会社」となってゆきたいと思います。

畠中さんポートレート

2009年に社長就任。毎回参加しているセミナーでは、第一線で活躍する経営者の方々と共に「魂の学」を学びながら、社員とお客様の幸せを願って研鑽に尽くしている

お客様に住宅を案内する畠中さん

社員が一丸となってつくりあげた住宅を案内する畠中さん。栄進不動産の建売住宅の信条は、「耐震・エコ・健康に強くて、長持ちする家」。「お客様の人生が輝く住宅を提供したい」との願いは、ますます強くなっている

全12区画の建売住宅予定地

全12区画の建売住宅予定地に立つ畠中さん。建売でも高品質なオリジナル住宅をもめざしている