私たちの実践

「助けたい」「育みたい」との願いを抱いて、痛みある方々に寄り添う

税理士事務所を立ち上げてから42年の歳月が過ぎました。

しかし、かつての私は、その生い立ちの中で吃音に苦しみ、「なぜこんな苦しみがあるのか」「人生の本当の平等とは何かを知りたい」と思っていました。その後、TL人間学(魂の学)に出会い、学び実践するようになり、やがて吃音の苦しみからも解放されて希望を見出し、税理士としての社会的な道が開かれてゆきました。

今では、人生の中で重要な相続の問題や遺言に関する相談をお受けし、「公正証書遺言」のサポートなどをさせていただくことも増えてきました。たとえば、30年間税理士として関わってきた会社の初代社長が遺された「公正証書遺言」の実行に関して、昨年、ご家族との出会いがありました。初代社長には2人の息子さんがいらっしゃいますが、事情があって弟が社長、兄が専務を担っていました。遺言書では弟の方に財産が多く遺されており、初代社長もギリギリのところでは書き直したい気持ちもあったのですが、時間切れとなってしまったのです。普通ならば、このまま実行されてしまったかもしれません。しかし、そうなれば兄弟間で紛争が起こりかねず、会社経営にも影響が出ることは容易に想像できました。

私自身この遺言書の証人の1人でもあり、火中の栗を拾う気持ちで、話し合いで調整させていただこうと決心しました。幸いご家族に影響力のある長女、次女の方が、主旨を事前にご理解くださり後押ししてくださったこともあって、数回の話し合いで、ご家族全員が納得する結論を出すことができたのです。

数カ月後、その会社の決算が出たのですが、なんと、コロナ禍にもかかわらず、会社始まって以来の空前の利益を上げることができました。また、その後の税務調査で「1点の非違なし」との会社への太鼓判も頂いたのです。

まさに、あのときがご家族と会社の分岐点であったと思わずにはいられません。現経営者である兄弟の絆が修復され、新たな気持ちで仕事に向かってゆかれた結果だと感じられて、私は無上の歓びを感じました。同時に、従来の法務の「解決観」は、「法律によって、権利が実現され、問題が解決すること」ですが、TL法務では、「法的な問題の解決と同時に、人生が癒やされ、切れた絆を再結すること」です。まさにそこに導かれたと思います。

また、私は、地域の調停委員を15年務め、今は、重要な判決について助言する参与員というはたらきをしています。社会貢献として25年間担っているのが、法を犯した人の立ち直りをサポートする保護司という役割です。犯罪抑止の活動とともに、窃盗や覚せい剤、傷害などの罪を犯した方々を一定期間、見守らせていただきます。生来の悪人という方は1人もいません。「その環境に生まれれば、自分もそうなっていたかもしれない」「この方は、私の身代わりになっていただいているのだ」という気持ちが、今の私の実感です。

現在、私は72歳です。5年前、多発性骨髄腫という血液細胞のがんで、大変な激痛を味わい、半年間入院しました。それが、医者も不思議がるほど寛解し、仕事も続けることができています。もし、高橋先生とTL人間学(魂の学)との出会いがなければ、そして、人生をかけて「真の平等」を知り、「助けたい」「育みたい」という願いを引き出していただかなければ、ここまで命をつなげることは難しかったに違いありません。今、元気で働けることに心から感謝しつつ、これからも痛みある方々に寄り添い、かけがえのない人生を大切に歩んでいただきたい! そして私も共に、人間として成長してゆきたいと願っています。

税理士のかたわら、地裁の調停委員を歴任し、現在、参与員、保護司、学校運営委員などの公務を通して、関わる方々を「助けたい」「育みたい」という願いを生きている

税理士業界では、名古屋会広報部に着任し、租税教育の担当を5期10年、支部長などを経て、今年6月に政治連盟副幹事長を最後に退任した