私たちの実践

子どもの魂を信じて関われば、新しい子どもたちに出会える!

2020年4月より、私は母から引き継ぎ、2つの幼稚園の園長として、300名を超える園児のお世話をしています。まさにその頃、新型コロナウイルスの感染拡大による「緊急事態宣言」が発出され、私の園も翌月まで休園せざるを得なくなりました。

入園式を行うこともできず、子どもたちから保育の機会が失われてしまうことに、心が強く痛みました。「子どもたちのために、何とか入園式を開催したい」と思い、6月に人数を制限して行うことを決めました。

そのとき私の心にあったのは、感染拡大の初期段階だった2020年2月、徹底した感染対策を講じて集いを開催された高橋先生の姿でした。先生がいち早く示された「5つの行い」(手洗い、マスク、換気、検温、喉を潤す・加湿)と「3つの戒め」(密閉・密集・密接を避ける)を、職員と子どもたち一丸となって実践しました。おかげで、運動会も規模を縮小して開催することができ、現在まで1人も感染者は出ていません。

感染対策においても、子どもを「1人の魂として見る」というTL人間学(魂の学)のまなざしが決定的でした。こちらがきちんと心を込めて伝えれば、子どもたちはちゃんと聞くべきことを受け取ってくれるのです。それは、子どもを対象としたセミナーで、1人ひとりの魂を信じて出会ってゆかれる高橋先生の姿が教えてくれたことでした。それが私の原点であり、そのまなざしによって、子どもの問題も解決に導かれています。

たとえば、ある3歳児クラスに、友だちの顔に手を出してしまう子がいました。当人同士だけでなく、その親同士の関係もこじれ、「あの子をやめさせてほしい」という要望が出されるまでに。しかし、担任から話を聞くと、その子自身も親や兄弟から顔に手を出されていたことがわかったのです。「かわいそうだったね。ごめんね」。その子のつらさや悲しみが伝わってきて、「大人として彼に謝りたい。寄り添いたい」という気持ちがあふれてきました。

そして、相手の子にも、「本当に彼とはもう仲よくしたくないの?」と尋ねると、「仲よくしたい」と答えてくれました。それからは、友だちに手を出すことも一切なくなり、また親御さんも彼に手を出していたことを後悔されたとお聞きしています。

子どもの魂を信じて関わるとき、必ず新しい子どもたちに出会える──。今、私はそう確信しています。

森田 公二さん

子どもを1人の魂として見る――その信念を持って、森田さんは園長として園を運営する

入園式

「緊急事態宣言」が発出されたため、2020年4月は入園式を行えなかった。「子どもたちの保育の機会を守りたい」との気持ちで、感染予防対策を講じて6月に実施

運動会

職員も含め、園児たちに毎日の健康管理手帳の報告を呼びかけ、感染防止に努める。運動会も、規模を縮小して開催した

園児と

子どもたちと関わる森田さんの胸には、いつも魂を信じて子どもに出会われる高橋先生の姿がある